第60回 宇都宮読書会(18/3/24) 「蜜蜂と遠雷」

幹事の方からの精緻な議事録をいただきましたのでアップします。
(議事進行しながらのメモ書きについて脱帽です!)

コンテスタントでは、やはり高島明石くんを挙げる人が多かったです。他にも、撮影部隊である雅美さんの名前も挙がりました。
コンテスタントに感情移入するというよりは、観客として客観的に読んだという意見が多かったです。
栄伝亜夜と高島明石が抱き合って泣くシーンは、「上手く言葉にできないけど、とにかくジーンときた」と、強く印象に残った人がいました。彼は、このシーンだけ何度も読み返して泣いたそうです。

2光の恩田陸だった
恩田陸さんの作品を読んでいる方は、「今回は光の恩田陸だった」と言っていました。「もっと予選落ちしていったコンテスタント闇を……!」との声もありましたが、「まあ、今回は光の恩田陸だから仕方がない」と落ち着きました。

3ぶっちゃけ、栄伝亜夜やマサル・カルロス・レヴィ・アナトールや風間塵に感情移入できるの?
亜夜はピアノを弾くことに対する葛藤、マサルは用意周到さなどに、人間味があって、そこに共感できる、との回答を頂きました。
マサルの選曲については、コンクール経験者からも「観客へのアピールと審査員へのアピールのバランスがとてもよく取れていて、プログラムを見ても、彼の戦略家な一面に納得できる」と言われていました。
対照的に、「共感できないよね」で全会一致だったのは、風間塵。心理描写自体が少なく、作者の描き方としても、あえて風間塵には共感させないように描いているのではないか、という意見もありました。また、塵くんは設定では17歳ですが、それよりもずっと幼いイメージで読んでいた、という人もいました。
コンテスタントよりも、浜崎奏に共感した、という人もいました。「自分は曲の善し悪しがわかるだけの耳を持ってはいる(三人の天才性がわかるだけの才能はある)けれども、でも、決して天才三人のようにはなれないこともわかってるし、そこに寂しさを感じてしまう気持ちが、凄くよく解る」とのこと。

4風間塵の常識外れぶりはプログラムからもわかる
コンクール経験者の方は、巻頭のプログラムを見た時から「!? サティ? え、サティ?」と二度見した、とのこと。「普通は、サティとか、新しすぎるというか、人気がありすぎるし、コンクールではまず弾かない」とか。コンクールというよりは、リサイタルの選曲に近いんじゃないか、と言っていました。
自分の持っている知識や技術を審査員にアピールするよりも、「僕が弾きたいのはこの曲なんです。ババーン!」みたいなゴーイング・マイウェイな選曲になっているそうです。
コンクールのモデルになった浜松国際ピアノコンクールで、優勝者なしの年の一位の人が、風間塵のモデルなのでは?との情報もあり。

5ぶっちゃけ、巻末の順位表いらなくね? いや、いるよ!
本戦の様子を読んでいたら、もう順位なんてどうでもいいので、巻末の順位表はなくても良かったかな、という意見もありました。 一方で、これだけ本文中に「本来順位付けできないものに順位をつける矛盾」を書いているのならば、きちんと順位を付けるのがそれに対する誠意ではないか、という意見も。
本戦後の順位発表は描かれていないけれども、予選の時と同様にもっと詳しくきちんと描写して欲しかった。そこでの嫉妬や悔しさを読みたかった。もっと闇を……!という意見もありました。

6グリッサンドは超絶痛い! けど、少しは痛くなくなるコツもあるらしい
やっぱり、超絶痛いそうです。痛すぎるから、グリッサンドがある曲は弾かないという意見も。
でも、やっぱり格好良くて弾きたい人には、少しは痛くなくなる弾き方のコツもあるらしいです。